約2年半も続けてきた不妊治療がようやく終わりを迎えようとしています。
結果的に、我家の場合は子宝に恵まれるという夢は叶いませんでしたが、、、
当然ながら落胆の気持ちを隠せないのも事実なんですが、それ以上になんだかもう燃え尽きたというか、全てやり切ったというか、ある種の充足感とか安堵感というような気持ちがあることも事実です。
これだけやったんだからもう十分でしょう。できることは全てやったんだから。辛かった治療はこれで卒業、今日から新しいスタートだよね。
少なくともぼくとしてはそんな気持ちなのです。もしかしたら妻はもう少し違う感情なのかもしれませんが・・・
いずれにしても、です。
なんとなく、この時がくることは最初から分かっていた気がします。というか、常にネガティブな結果予測も持ち合わせることで衝撃を緩和しようときました。
きっと不妊治療で良い結果に恵まれず、涙を飲んできた方々が、必ず通るであろうこの分岐点。大きな決断のとき。
この場所に自分たちが実際に立つことになり、改めて、今何を思い何を考えて答えを出そうとしているのか。
誰にも言えないような心に鬱積したこの想いを吐き出して、少しずつ前に進んでいこう。そんな独りよがりでワガママな記事を今日は書いてみようと思います。
2年半に及んだ不妊治療の長い道のり。やれることは全部やったから悔いはない
- 【ステージ1】タイミング法(排卵誘発法) → 何度かトライするも×
- 【ステージ2】人工授精 → 5回トライするも×
- 【ステージ3】体外受精(顕微授精) → 3回トライするも×
↑こんなふうに不妊治療には大きく3つのステージがあって、ステージが進むほど高度医療化していくのは、なんとなくイメージできるかと思います。
そしてステージが進むほど、治療にかかる費用や心身負担が大きくなっていくことも。
うちら夫婦といえば、最終ステージである体外受精まで移行しましたが、結局すべて成就せずで終わりました。まあ分かっちゃいたけど難しかったね、うちら夫婦にとっては。
不妊原因って実はそのほとんどが解明されていなくて、「これだっ!!」っていうような、各ケースに最適な治療ってのを見つけ出せないのが大半であり、それが現状らしい。
ちなみにウチもそうでした。
それゆえに、まあ誤解を恐れずにいえば「とりあえずやってみてダメなら次のステージへ」というローラー作戦になりがちなんですよね、不妊治療って。
その作戦が運よくハマって一回目で妊娠する人もいれば、時間も労力もお金も心身も、いろんなものを犠牲にしたって結局実らない人もいる。うん、実に大変な2年半だったと思う。
まあなんだかんだ言っても。
すべては終わったこと。これだけ色々やったんだから、悔いはなかったって自分を納得させるしかないと思ってるんですけどね。
ぼくら夫婦が不妊治療をやめて、子供を諦めるという結論に至った3つの大きな理由
なんというか、そんなふうに書くとすごくネガティブな雰囲気にとらえられがちなんだけど、実はこの3つの理由に対して少なくともぼくは感謝している。
不妊治療は宗教に近い、とはよく言ったもので、人によっては一種の信仰感覚を覚える人もいるらしい。
「治療法をかえたら次はうまくいくかも・・・」「これだけお金をかけたんだから次こそは・・・」
そんなふうにして心身を摩耗しながら、終わりの見えない治療ループにハマって抜け出せなくなる人を、実際にぼくもみたことがある。
幸いにして我家はそうはならなかった。いや、宗教、とまではいかないものの神頼みは何度もしましたよ。子宝神社にも何回も行った。
だけどそんな気力・努力を完全にそがれるほど、辛いことが多すぎて、もうね、戦意喪失しましたよ・・・(笑)
いや喪失できた、といったほうがいいか。
おかげで終わりのない不妊治療に自らピリオドを打つことができたのだから・・・!
お金の痛み
言うまでもなく不妊治療はお金がかかる。マジで湯水のごとくお金が消えていきますよ。
実際に、病院の待合で、高級車買えちゃうくらいの治療費を突っ込んでるご夫婦とご一緒したことがあります。
別に珍しいことじゃないんですよね。この世界では。治療が高度化するほど(人工授精とか体外受精とか)、費用は保険適用外になるのがその理由。
それでも我家はまだマシなほうで、治療+薬+通院費+手術2回でだいたい130万くらいかな(ここから助成金を引くと手出しは80万くらい)。
ちなみに、分かる人は分かると思いますが、体外受精3回までやってこの治療費は実は破格なんですよね。助成金申請担当の方も言ってました。治療費の安さに毎回びっくりすると。
金銭的な不安材料を避けるために、できるだけ治療費を抑えられる共済組合系の病院を選んだことが(治療費は安いけど先生の腕は一級!)、この結果につながっています。
まあそういう意味では正直、お金の不安・痛みってのはさほどなかったかな。
不妊治療のために妻も在宅ワークでお金を稼いでくれたし、そのための準備は色々してきたつもりなので。むしろこれだけで済んだのね、って良い意味で意外なくらい。
だからお金だけでいえば、正直まだ治療を継続出来るだけの余力はありました。お金だけでいえばね。
心の痛み
世の中って実に不条理なもんで、たとえば子供が出来なくて泣きながら不妊外来に通ってる人もいれば、一方で望まない妊娠によって泣きながら婦人科に来ている人もいる。
あの人は簡単に子供ができるのに、なんであたしはこんなに辛い思いしても未だに恵まれないんだろう・・・
きっと妻は何百回もおんなじことを考えて、心の中で泣いていたことは想像に難くない。通われているたくさんの女性たちがそう感じているだろう。
不妊と判断されただけで、子供が出来ずらいと判断されただけで、なんだか自分が欠陥品のような不良品のようなレッテルを貼られた気分になると思う。そのうえ、辛いホルモン治療とかその副作用と戦いつづけたとしても、必ずしも成就するとは限らない。
妻をそばでみてきたから、その無念さとか悔しさが、痛いほど分かるようになってしまった。
そういや、いつかお義母さんにいわれた一言ですら、男のぼくでも一撃でぶっ倒れるくらいの衝撃だったわな・・・(苦笑)
つい先日、高知県にいる祖父母に会ってきた。
いとこも含めてぼくが唯一の男孫だ。
だからこそ祖母ちゃんは、ことさらぼくを可愛がってくれて、そして会うたびにかわいい土佐弁で「早くそうたろくんの子供の顔見たいきねぇ」と、笑顔と少し寂しそうな表情を折りまぜながら、やさしくせがんでくる。
祖父ちゃんは祖父ちゃんで、ぼくらのことを案じてか「精神修養と水子供養せないかん!!」と笑顔で言ってくる。
齢90歳を超える祖父母たちに、もちろん他意も悪意もない。
昔のひとからすれば「結婚」と「子供作ること」が同義なのはよく理解している。
「欲しくても子供できない奴の気持ち考えたことあんのかゴラァっっ!???」なんて、まさか90越えのじいさんばあさん相手に説教するつもりもない。だから、うんうんと頷きながら笑顔で聞くしかない。
何気なく横をみたら、妻が涙目になりながら、笑顔を必死に作って耐えていた。
ぼくはそのときの妻の顔を、一生忘れることはないだろう。
体の痛み
なによりこれが一番のトリガーだったように思います。
治療を辞めようと決断するに十分な材料でした。
最終ステージの体外受精ともなると、妻はもう薬漬けといってもいいくらいの状態であり、採卵に伴うホルモン治療や副作用が体に負荷をかけまくるわけです。
常に具合悪そうだし、痛みと戦ってるし、精神状態も不安定で、この治療が果たして正しい選択だったのか・・・?とワケ分からなくなります。
決定的だったのは、このときのホルモン治療が原因と思われるポリープができてしまって、その切除手術をしたこと。もちろんポリープができたこと自体は、医療ミスとかでもなんでもなくて、不妊治療に伴う弊害であり、そういったリスクがあるってことは事前に認識していました。
でも3回目の体外受精が失敗に終わり、そのうえポリープの切除手術でさらに体にメスを入れられ、さすがにこれはもう無理かな、と。
自然の摂理に逆らって、ここまで心身に負荷をかけてまで子供が欲しいとは思えないし、なにより妻が苦しむ姿をみるのはもうゴメンだ。
きっと「まだ治療続けたい」って反対されるだろうなって思いながら、その想いを慎重に伝えると「うん、あたしも実はそう思ってたんだ」ってあっさりと白旗をあげられました。
もう限界だったみたいですね、妻も。
子供のいない人生を選ぶということ。そしてぼくらはゆっくりと新しいスタートに立つ
口には出しませんが、ぼくらに子供がいたら、どんな子供だったんだろうって、思うことは正直あります。
公園で母親と無邪気にあそんでる子とか、お店で父親に抱っこされてる子とか、そんな他愛ない日常風景をみるとつい、ね。
今はそうやって感傷に浸る時間の方が多いと思うけど、今はそれでいいのかなと。子供のいない人生を受け止めて、徐々に新しいスタートに立てればイイのかなって。
子供がいない分、妻と一緒にいる時間は増える。子供の分まで楽しい時間を過ごせたらいいな。
※もしかしたら今後、万が一子供に恵まれる可能性もなくはないしね
ところでこんなこと言うのもなんですが、実はぼく、ぶっちゃけると昔は子供が嫌いだったんですよね・・・(笑)
うるさいし、空気読めないし、しつこいし、すぐ泣くし、もらすし、割とすぐゲロ吐くし。
でも不妊治療して、結局子供できなくて、子供ができるって奇跡なんだってことを知って、もっと可愛がってやろうって思えるようになりました。妹の子供とか親戚の子供とか、ちゃんと。
そして不妊治療を通して、子供が欲しくてもできない人の気持ちも痛いほど分かったな。
だから、今頑張って不妊治療してる人たちに、密かにエールを送りたい。送らせてください。二人なりの幸せがどうか見つかりますようにと・・・。
まあそんなこんなで、少し大人になれたかな、人間的に少し成長できたかなって、不妊治療を通してそんな気持ちになれたので、不妊治療にありがとうって伝えたい。
今、素直にそう思えるんです。
コメント
コメント一覧 (4件)
涙が止まりません。
今の私を助けてくれる文章でした。
ありがとうございました。
あいさん、こちらこそありがとうございます^^
そうやって共感してもらえる方がいるってだけで、僕たちも少しずつ穏やかになれます。
そして、助けられているなぁって思います。
お互い、時間はかかっても自分たちならではの幸せのカタチを見つけていけたらいいですね・・・☆
はじめまして。エクセル家計簿の検索から辿りついて、記事を読んでグッときたのでコメント残させていただきました。
期間中はとても苦しい日々で会ったと思います。
私も、不妊治療(鍼灸というハードル低いものでしたが)を経て離婚に至った者です。
不妊治療を一緒に乗り越えられる、隣に誰かが居てくれることが奥様にとっても心強かったと思います。
一人では本当に闇雲になるので・・新しいスタートや今まで以上の素敵な時間が過ごせますように・・・
イクミさん、はじめまして。嬉しいコメントありがとうございます(*^-^*)
治療していた当時はホントにもう・・・男のぼくですら痛みや辛さを感じ取れてしまうくらい大変そうでしたね。
きっと治療のことについて、誰か相談できる同姓がそばにいてくれたらまた違ったのでしょうが、、、
(オープンにしずらいことですし、きっと大多数の方がそうなんだと思います)
でも今は、妻もある程度は吹っ切れたようで、また元気にパートに出かけています!
ついでに職場の文句もよく言っております(笑)
イクミさんもこれまでに色々とご苦労されたかと思います。
にもかかわらず、僕たちのために温かいメッセージを送ってくださり感謝の気持ちでいっぱいです・・・。
今後の人生が素晴らしい時間になるよう、お互いゆっくり歩んでいきましょうね!!^^