唐突ではありますが、僕は今、酪農作業員といわれる仕事をしています。
乳牛の乳しぼりをしたり、牛にエサをあげたり、牛舎の掃除をしたり。顔にウ○コをかけられたり、牛に足を踏まれて悶絶したりと、体重700kgを超える大動物相手の仕事は常に刺激的です(笑)
そんな僕も実は、最初からこの業界にいたわけではなく、機械エンジニアという全く畑違いの業種からの転職組です。
なぜ肩書や年収を捨てて、わざわざ未知の3K業界(汚い・臭い・危険)に転職してしまったのか、その理由を書いてみようと思います。
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【僕の職歴】現在32歳・転職3回・社会人8年目
某大学の工学部を卒業し、北海道のそこそこ名の通った機械メーカーに就職したのが2009年。
そこから僕の紆余曲折の社会人生活が始まるわけですが、その遍歴を簡単にまとめるとこんな感じ↓
機械メーカー(3年) ⇒ 羊の生産牧場(1年) ⇒ 酪農ヘルパー(1年) ⇒ 酪農牧場(現在3年目)
自分で言うのもなんですが、大学まで出ておきながら、学歴や専門スキル、待遇など全部捨てて転職しちゃうんだから、とんだ親不孝者ですよね(笑)
実際、機械メーカーを辞めて、農業界に転職したいという話をしたら、親には猛烈に反対されましたよ。まあ、当然ですよね。
当時、社会人3年目で年収は500万弱。独身でしたし、金銭面は特に不自由もなし。きっと両親も、定年まで機械エンジニアとして立派に勤め上げてくれる、と信じていたと思います。
ちなみに、羊牧場の社長から提示された給料は月16万。年収にして200万弱。つまり、年収は500万⇒200万へ急降下するわけです。
さらに実は、その転職と同時に結婚話も同時進行しており、将来性のない転職となぜこのタイミングで結婚するのか!?と、常識人の父は、息子のことを案じて非常に狼狽しておりました(^-^;
年収激減させてまでなぜ農業職への転職にこだわった?転職を決意した本当の理由
周りの人に僕の職歴を話すと、必ず聞かれるのが「なんでエンジニア辞めて農業に?」ってこと。まあ当然ですよね。
で、僕はたいてい「動物が好きだから」って答えるんですが、これは実は建前で。普通に考えたら、大多数は動物好きってだけで年収捨ててまで転職できませんよ。ましてや、これから世帯持とうとしてる人間が。
まあ動物好きなのは事実で、確かにそれも理由の一つではあるのですが、核心的な理由は平たく言うとズバリ「心の病気」。つまり、会社に行くのがつらすぎてドロップアウトしちゃいました。
そのへんの経緯については、こちらにまとめてあるとおりです↓
病院のベッドから天井を見つめながら考えた。僕は本当は一体どんな仕事したいのか

結局僕は、積もり積もったストレスを最悪な形で発散させてしまい、3週間ほど入院することに。
この時点で僕は、ストレスの元凶だった会社を近いうちにやめるだろうと悟り、自分への失望感と同時に、しばらく会社に行かなくてもいいんだという安心感みたいなものを感じていました。
次の職業に羊飼いを選んだのは、できるかぎり人間と関わりながら仕事をしたくなかったのと、なんとなく羊という生き物に癒しを求めていたんだと思います。
※羊飼いといっても雇われです。身分は羊肉生産牧場の社員。社会保険・雇用保険アリです。
入院する少し前に、新規就農した山奥に住む羊農家さんのことをテレビで知り、それが脳裏に残っていたのも理由です。あ~、僕もいつかこんな山奥で、人間関係に臆することなく、伸び伸びと人間らしく仕事したいなと。(後日、この農家さんを実際に訪問することになるのですが)
それと僕自身、牧場経営していた実家で育ったこともあり、自然や動物に囲まれた生活が体に染みついていたのも、転職を意識した理由です。
結局転職はしましたが、羊飼いを天職にしたいって気持ちや、確固たる将来のビジョンがあるわけではなく、一言でいえばこれは「現実逃避」でしたね。ネガティブ転職に近いです。自分を守るための。
人付合いができないので、山奥にこもって羊の世話をする。羊飼いをしながら自分の歩むべき人生をもう一回イチから考える。
この転職にはそういう意味合いがありました。
人から言わせれば「甘ったれてんじゃねえぞ若造がっ!!」って言われそうですが。
でも、当時の僕は「死んだほうがマシかな」って思えるくらいの心理状態だったし、そんな状態でも転職意欲があった自分を、むしろ褒めてやりたいと思っているのですが(笑)
死ぬよりマシでしょ。どう考えても。
経済的安定を求めて羊飼いから酪農ヘルパーへ転職、そして今の酪農生産法人に就職
羊飼いは1年弱で辞めました。
人付合いを避けて山奥でひっそりと羊たちと遊んでると、僕の病んでいた精神も少しずつ氷解してきて、「もう少し前向きに生きてみようかな。羊みたいに…」と思えるまでに回復したことがその理由。
「自分の歩むべき道をもう一度考え直す」という、本来の転職目的を達成するには十分な時間でした。
安月給(年収200万以下)だったことと、会社の将来性が全く無い、という現実的な問題もありましたが(笑)
ちなみに僕が辞めた直後、この牧場は倒産しました。
その後はより収入面での安定を求め、1年の酪農ヘルパーを経て、現職場である酪農生産法人に就職、という道を歩みました。
基本的に人間とは絡みたくないので、動物や自然相手の業種であることに変わりはありません。ただ動物相手が羊⇒牛に変わりました。
しかし、いくら人間嫌いと言っても、一人でできる仕事ではないので、やっぱり最低限のコミュニケーションは必要。
職場が変わるたびに、人間関係にはそれなりに苦労しましたが、今は割と上手くやっています。時間はかかりましたが。
あ、あと牛はカワイイです。3歳児並みの脳ミソなので、たまにお仕置きしたくなることもありますが(笑)
なんだかんだん言っても、僕はやっぱり動物好き。機械エンジニアから、全く畑違いの農業職にスムーズに移行できたのはこの性格のおかげ。そういう意味では幸せでした。
どう思おうがあなたの勝手。でも人の人生を否定できる権利があなたのどこにある?
ごく一部の人なのですが。
「コイツは本当の馬鹿だ。工学系の大学まで出ながら今は牛飼いの仕事してる。俺が親だったら絶対許さないけどな。」
今の仕事を始めてから、そう言ってくる上司がいました。
実はこの記事を書こうと思ったのは、上司にこんなことを言われたのがキッカケ。
何度が同じことを言われたけど、僕はそのたびに怒りをグッと堪え、そして襲い掛かってくる過去の暗い記憶を振り払おうとする。
(じゃあ死んだ方が良かったですか?って一言言おうかとも思いましたが面倒くさいので放置してます。今のところ。)
別に他人が心中でどう思おうが勝手。その考え自体を否定するつもりはないし、いくらでもボヤいてくれていいんですよ。
でもそれを本人を目の前にわざわざ口に出して、人の人生を全否定できる権利がどこにあるのか?
まあ僕も転職理由を全て話したワケではないので、上司にしてみれば、我慢の知らないただのボンクラ息子だと思ってるんでしょう。
別にそれでいいです。理解してほしいとも思いません。
でも、人生にもがき苦しんで、色んなものを捨ててまで、もう一度人生をやり直したいと本気で考えた人間の気持ちを分からないこの人が、僕には惨めに思えてしょうがない。
僕は人のココロの痛みを理解できない、そういう人間には絶対になりたくないと思います。
すみません、私事がすぎました…(´・ω・`)笑
転職を経て家計は回復。これからも自分らしい生き方・働き方をしていきたい!

機械エンジニアから羊飼いに転職し、その後酪農ヘルパーを経て、今は酪農法人で働いています。
結局、どんな職場でも人付き合いはつきまとうので、少なからずコミュニケーション不安は残るのですが。
ただ幸いなことに、サポートしてくれる人も多いので、今のところ何とかやれてます。
そして職場は、待遇や保障面も割としっかりしているので、そういう意味では安心して働いています。貯蓄もできるようになったし。
僕の人生は、大学時代に得た専門知識も発揮できず、何度も転職を繰り返すような、決して自慢できるような立派な道のりではないですが。それでも今は転職して良かったなって心の底から思えます。
学歴も肩書も専門知識もすべて捨ててしまったけど。僕自身は人生放棄せず、ちゃんとこうやって生きてるし、楽しくブログも書けているわけで(゚∀゚)アヒャヒャ
あの時、同じ職場にしがみついていたらきっと廃人になっていたと思います。もしかしたら二度と社会復帰できていなかったかも。そう考えると、今の状況は幸せだなと。
最近ようやくそう思えるようになりました。
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